家庭用蓄電池は後付け可能!後付けの方法とおすすめの機種を紹介
2020.06.26
「太陽光発電に、蓄電池は後付けできるの?」
という質問を受けることがありますが、もちろんできます。
最近では、太陽光発電に家庭用蓄電池を後付けするお客様がとても多くなっています。
「後付けできる家庭用蓄電池の機種はどれ?」という疑問にもお答えしておくと、基本的にすべての家庭用蓄電池が太陽光発電に後付けできます。
しかし実は、家庭用蓄電池の後付けには「向いている機種/向いていない機種」があります。
さらに、“後付けだからこその注意点”もあり、知らずに工事を進めてしまうと後悔することになりかねません。
そこで今回は、「太陽光発電に後付けする家庭用蓄電池」に焦点を絞り、
● 太陽光発電に家庭用蓄電池を後付けする方法
● 後付けに最適な機種の選び方
● 後付けを失敗しないために知っておきたい注意点
…について、詳しく解説します。
家庭用蓄電池の後付けを検討中の方は、まずはこの記事からご覧ください。必要な知識が一通り身につくよう構成しています。さっそく見ていきましょう。
~目次~
1. 太陽光発電に家庭用蓄電池を後付けする2つの方法
1-1. 方法① 単機能型の家庭用蓄電池を後付け
1-2. 方法② ハイブリッド型の家庭用蓄電池を後付け
2. 「単機能型」の家庭用蓄電池を後付けするメリット・デメリット
2-1. 単機能型のメリット
2-1-1. 価格が安い
2-1-2. 太陽光発電のパワコンを活用できる
2-2. 単機能型のデメリット
2-2-1. 変換ロスが生じる
2-2-2. パワコン2台分の設置スペースが必要になる
2-2-3. 太陽光発電からの充電と放電が同時にできない
3. 「ハイブリッド型」の家庭用蓄電池を後付けするメリット・デメリット
3-1. ハイブリッド型のメリット
3-1-1. パワコンの設置スペースが1台分で済む
3-1-2. 変換ロスが減る
3-1-3. 太陽光発電からの充電と放電が同時にできる
3-1-4. 全体の動作設定を細かくできる
3-2-1. 価格が高い
3-2-2. 太陽光発電用のパワコンは廃棄になる
5. 後付けに人気のハイブリッド型機種2選
5-1. 田淵電気/EIBS(EneTelus PKG-EHD-S55MP3B)
5-2. ニチコン/ESS-H1シリーズ
6. 家庭用蓄電池の後付けに関するQ&A
6-1. 太陽光と蓄電池を連携するメリットは?
6-2. 今ついてる太陽光と相性のいいメーカーは?
1. 太陽光発電に家庭用蓄電池を後付けする2つの方法
太陽光発電に家庭用蓄電池を後付けするには、
① 単機能型の家庭用蓄電池を後付けする
② ハイブリッド型の家庭用蓄電池を後付けする
…という2つの方法があります。
1-1. 方法① 単機能型の家庭用蓄電池を後付け
1つめは「単機能型」の家庭用蓄電池を後付けする方法です。上の図の左側にあたります。
いま使っている太陽光発電のパワーコンディショナー(パワコン❶)に加えて、蓄電池のみに対応したパワーコンディショナー(パワコン❷)と蓄電池を導入します。
電気を【DC(直流)】⇔【AC(交流)】に変換する装置。太陽光で発電した電気や蓄電池に蓄えた電気を、家庭で使える形に変換するために必要です。
1-2. 方法② ハイブリッド型の家庭用蓄電池を後付け
2つめは「ハイブリッド型」の家庭用蓄電池を後付けする方法です。上の図の右側にあたります。
いま使っている太陽光発電の古いパワーコンディショナーは廃棄して、新たにハイブリッド型のパワーコンディショナーと蓄電池を導入します。
ハイブリッド型のパワーコンディショナーは、1台で「太陽光用」「蓄電池用」の2つの機能を兼ね備えています。
単機能型・ハイブリッド型には、それぞれメリット・デメリットがあります。次章から詳しく解説しましょう。
2. 「単機能型」の家庭用蓄電池を後付けするメリット・デメリット
まず、「単機能型」の家庭用蓄電池を後付けするメリットとデメリットを見てみましょう。
2-1. 単機能型のメリット
単機能型のメリットとしては、以下が挙げられます。
○価格が安い
○太陽光発電のパワコンを活用できる
2-1-1. 価格が安い
家庭用蓄電池の本体価格を、単機能型 vs ハイブリッド型で比較すると、単機能型の方が安くなります。
例えば、ニチコンの家庭用蓄電池で比較してみましょう。
『ESS-U2L1』と『ESS-H2L1』は、蓄電容量は12kWhと同じですが、ハイブリッド型の方が50万円高くなっています。
「できるだけ低予算で家庭用蓄電池を導入したい」とお考えであれば、最安値はどのメーカーでも単機能型になります。
※家庭用蓄電池の価格について詳しくは下記の記事もあわせてご覧ください。
2-1-2. 太陽光発電のパワコンを活用できる
単機能型を導入する場合、太陽光発電で使用中のパワーコンディショナーは廃棄せず、引き続き利用します。
太陽光発電を導入して間もない場合、「太陽光発電のパワコンが、まだまだ現役で使える」という状況でしょう。
太陽光発電用のパワコンを活かせるのは、単機能型のメリットです。
ハイブリッド型の家庭用蓄電池を導入する場合、太陽光発電用パワコンは廃棄になります。心情的に「もったいない」「エコの精神に反する」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
そんな方にとって、まだ使える太陽光発電用のパワコンを廃棄せずに済む点は、単機能型の長所といえます。
2-2. 単機能型のデメリット
単機能型のデメリットとしては、以下が挙げられます。
×変換ロスが生じる
×パワコン2台分の設置スペースが必要になる
×太陽光発電からの充電と放電が同時にできない
2-2-1. 変換ロスが生じる
単機能の大きなデメリットは「変換ロス」が生じることです。下の図をご覧ください。
太陽光発電された電気はDC(直流)ですが、太陽光発電用のパワコンによってAC(交流)に変換されます。
しかし、蓄電池にはDCでないと充電できません。
そこで、「もともとDCの太陽光発電の電気をACに変換して、またDCに戻す」という、二度手間ともいえる処理が行われます。
この問題点は「変換ロス」です。変換するたびに電気の損失が発生するので、発電した電気量が減ってしまうのです。
2-2-2. パワコン2台分の設置スペースが必要になる
単機能型の家庭用蓄電池では、
①太陽光用のパワコン
②家庭用蓄電池用のパワコン
の2台を設置します。その分、設置スペースが必要になることはデメリットです。
住宅環境によっては、「スペースがないので、単機能型は設置できない」というケースもあります。
2-2-3. 太陽光発電からの充電と放電が同時にできない
単機能型の場合、太陽光発電した電気の充電と放電が同時にできません。
太陽光のパワコンと蓄電池のパワコンが分離しているので、太陽光→蓄電池の充電は細かく制御できないのです。
例えば、太陽光発電の電気を売電しながら余剰分を蓄電池へ充電したり、停電時に家の中で使用しながら充電したり……といったことは、ハイブリッド型でないとできないので、注意が必要です。
3. 「ハイブリッド型」の家庭用蓄電池を後付けするメリット・デメリット
続いて「ハイブリッド型」の家庭用蓄電池のメリット・デメリットを見ていきましょう。
3-1. ハイブリッド型のメリット
ハイブリッド型のメリットとしては、以下が挙げられます。
○パワコンの設置スペースが1台分で済む ○変換ロスが減る ○太陽光発電からの充電と放電が同時にできる ○全体の動作設定を細かくできる
3-1-1. パワコンの設置スペースが1台分で済む
まず、パワコンの設置スペースが1台分で済むというメリットがあります。
単機能型を後付けするとパワーコンディショナーは2台必要でした。ハイブリッド型の場合、設置するパワーコンディショナーは1台のみです。
その分、省スペース化が可能です。スペースに余裕のないご家庭にとって、うれしいポイントです。
3-1-2. 変換ロスが減る
単機能型では、太陽光発電の電気を蓄電池に充電する際、DC→AC→DCの変換が二重に行われ、変換ロスが生じることをご説明しました。
ハイブリッド型では、DCのまま蓄電池に充電ができるので、効率的です。
変換回数を減りますから、その分、電気の損失(変換ロス)を減らすことができます。
3-1-3. 太陽光発電からの充電と放電が同時にできる
加えて、太陽光発電からの充電と放電を同時にできる点も、実際に使ってみると大きなメリットと感じられるでしょう。
特に、停電時には、この点が心強いプラスとなります。
例えば、「昼間、太陽光発電で発電した電気を使いつつ、余った分を蓄電池に充電しておき、夜に備える」といった使い方ができるのは、ハイブリッド型の優れた点です。
3-1-4. 全体の動作設定を細かくできる
太陽光発電から蓄電池までを包括したシステムで制御できることは、ハイブリッド型の強みです。
これにより、全体の動作設定を細かくできるようになります。
例えば、
・売電を優先するモード
・蓄電池への充電を優先するモード
・電気代の節約を優先するモード
など、モードを設定しておくだけで、太陽光発電した電気を効率的に使えます。
3-2. ハイブリッド型のデメリット
ハイブリッド型のデメリットとしては、以下が挙げられます。
×価格が高い
×太陽光発電用のパワコンは廃棄になる
3-2-1. 価格が高い
端的にいえば、単機能型よりもハイブリッド型の方が多機能で高性能です。その分、本体価格は高くなります。
「2-1-1. 家庭用蓄電池の本体価格が安い」の項でも触れましたが、同等のスペックであれば数十万円〜50万円程度の価格差があります。
3-2-2. 太陽光発電用のパワコンは廃棄になる
ハイブリッド型を導入する場合、既存の太陽光のパワコンは不要になります。
太陽光発電を導入して間もないご家庭にとっては、もったいないと感じられるかもしれません。
4. 後付けにおすすめの家庭用蓄電池は「ハイブリッド型」
ここで、単機能型・ハイブリッド型のメリット・デメリットを表にしてみましょう。
単機能型 | ○価格が安い ○太陽光発電のパワコンを活用できる | ×変換ロスが生じる ×パワコン2台分の設置スペースが必要になる ×太陽光発電からの充電と放電が同時にできない |
ハイブリッド型 | ○パワコンの設置スペースが1台分で済む ○変換ロスが減る ○太陽光発電からの充電と放電が同時にできる ○全体の動作設定を細かくできる | ×価格が高い ×太陽光発電用のパワコンは廃棄になる |
双方に長所短所はありますが、全体的に見るとデメリットよりメリットが大きいのは「ハイブリッド型」です。
迷ったときには、ハイブリッド型を選んでおくことをおすすめします。その方が、後々、後悔するリスクは少ないはずです。
ただし、以下のケースに当てはまる方は、単機能型を検討しても良いでしょう。
・太陽光発電を導入てから年数が浅く、太陽光発電のパワーコンディショナーが新しい(目安は設置から5年以内)
「単機能が良いかハイブリッド型が良いか、判断できない」
「決められずに迷ってしまう」
という場合には、省エネプラスまでお気軽にご相談ください(ご相談窓口はこちら)。
あなたのご家庭の状況をお伺いした上で、どちらが適切か、個別にアドバイスさせていただきます。
5. 後付けに人気のハイブリッド型機種2選
さて、ここからは「ハイブリッド型の導入を検討したいけれど、具体的にどんな機種が候補になるのか知りたい」
という方のために、人気の2種をご紹介します。
5-1. 田淵電気/EIBS(EneTelus PKG-EHD-S55MP3B)
出典:田淵電機
田淵電気の『EIBS』(EneTelus PKG-EHD-S55MP3B)は太陽光発電に後付けする家庭用蓄電池として、非常に人気です。
・さまざまなメーカーの太陽電池モジュールに接続可能
・長寿命設計(12,000回以上の方充電を繰り返しても70%の容量を維持)
・パワコンが小型・軽量(壁掛けに対応)
・ライフスタイルに合わせた4つの運転モード
太陽光発電への後付けでは、「今ついている太陽光との相性の良し悪し」が重要になってきます。
基本的には同メーカー同士が好ましいのですが、『EIBS』はさまざまなメーカーに接続が可能です。
さらに、ハイブリッド型の中でも省スペースで設置可能なのも利点です。
出典:田淵電機
上のイメージ図の通り、パワコンが小型・軽量で、壁掛けに対応しています。
蓄電池が長持ちする長寿命設計や、ライフスタイルに合わせて選べる4つの運転モードも魅力的。
① スマートモード
② 節エネモード
③ ノーマルモード
④ 蓄電モード
※『EIBS』(EneTelus PKG-EHD-S55MP3B)について、より詳しい情報はこちらからお問い合わせください。
5-2. ニチコン/ESS-H1シリーズ
出典:ニチコン
もう1つ、ニチコンの『ESS-H1シリーズ』も、多くの方が後付け家庭用蓄電池として選ばれています。
・国内の幅広いメーカーの太陽光発電システムと接続可能
・大容量・高出力(業界最大クラス)
・設置可能気温が-30℃〜+40℃まで幅広い
・シンプルでわかりやすい2つの運転モード
国内の幅広いメーカーの太陽光発電システムと接続が可能です。
業界最大クラスの大容量・高出力の家庭用蓄電池ですから、「災害の備えをしっかりしたい」という思いの強い方に人気です。
設置可能気温が-30℃〜+40℃と幅広く、南側への設置や酷寒地域への設置に対応している点も、ESS-H1シリーズが選ばれる理由です。
出典:ニチコン
搭載されている運転モードは、シンプルでわかりやすい2つのモードとなっています。
① グリーンモード(環境を重視したエコロジー設定)
② 経済モード(経済性を重視したエコノミー設定)
※『ESS-H1シリーズ』について、より詳しい情報はこちらからお問い合わせください。
6. 家庭用蓄電池の後付けに関するQ&A
最後に、家庭用蓄電池の後付けを検討中の方から、よく受けるご質問をQ&A形式でご紹介します。
6-1. 太陽光と蓄電池を連携するメリットは?
まず「太陽光発電と蓄電池を連携するメリットは?」というご質問です。
メリットは大きく分けて2つあり、1つめは「さらなる電気代の削減が見込める」点です。
いわゆる「卒FIT」を迎え、太陽光発電の売電価格が低下するご家庭では、その分「日常生活で使用している電気代を下げたい」とお考えかと思います。
蓄電池があれば、太陽光発電の電気を今よりも有効的に活用できるようになり、電気代の削減が見込めます。
2つめのメリットは「防災性能の向上」です。
災害によって停電した場合、太陽光発電システムのみでは、夜間の電力供給ができません。
しかし蓄電池があれば、昼間に太陽光で発電した電気を、蓄電池にためておくことができます。
長期間の停電という災害に巻き込まれた場合でも、「太陽光発電+蓄電池」のセットで備えがあれば、停電復旧までの期間をほぼ平常時と同じように過ごすことも可能になるのです。
6-2. 今ついてる太陽光と相性のいいメーカーは?
次に「今ついている太陽光発電と相性のいいメーカーは?」というご質問です。
基本的には、同じメーカーが好ましいです。それは、電気の変換ロスの関係があるためです。
しかし、別メーカーとの組み合わせが可能な機種もあります。
先ほど人気の機種としてご紹介した、『EIBS』『ESS-H1シリーズ』は、多くのメーカーと接続可能な機種になります。
7. さらに質問のある方はお気軽にお尋ねください
家庭用蓄電池の後付けにあたっては、個々のご家庭のご利用環境に合わせて、検討すべき事項が多くあります。
ご質問は、省エネプラスまでお寄せいただければ、個別に回答させていただきます。ぜひお気軽にお尋ねください。
8. まとめ
太陽光発電に家庭用蓄電池を後付けするには、「単機能型を後付け」「ハイブリッド型を後付け」の2つの方法があります。
それぞれのメリット・デメリットは下の表の通りです。
単機能型 | ○価格が安い ○太陽光発電のパワコンを活用できる | ×変換ロスが生じる ×パワコン2台分の設置スペースが必要になる ×太陽光発電からの充電と放電が同時にできない |
ハイブリッド型 | ○パワコンの設置スペースが1台分で済む ○変換ロスが減る ○太陽光発電からの充電と放電が同時にできる ○全体の動作設定を細かくできる | ×価格が高い ×太陽光発電用のパワコンは廃棄になる |
全体的に見ると単機能型よりハイブリッド型の方がメリットが大きく、後付けにおすすめの家庭用蓄電池は「ハイブリッド型」です。
後付けに人気のハイブリッド型機種として、以下の2つをご紹介しました。
① 田淵電気/EIBS(EneTelus PKG-EHD-S55MP3B)
② ニチコン/ESS-H1シリーズ
太陽光発電に蓄電池を後付けすることは、電気代の削減や防災性能の向上を考えると、大変メリットが大きいといえます。実際、後付けするお客様が非常に増えています。
何かご不明な点があれば、お気軽に省エネプラスまでお問い合わせください。